
柏たなか病院では、2020年度から新たな新人研修をスタートさせています。同院は、ケアミックス型の医療を提供していることから、日常的に多職種による連携が欠かせません。そのため、新入職時から多職種が共に学ぶことで、知識・技術の基礎を身につけるとともに、チームとしての人間関係を構築できる研修プログラムを施行しています。そんな研修の様子をご紹介しましょう。
看護部とリハビリ部が連携し2020年度から新たな新人研修を実施
柏たなか病院(千葉県柏市)が有するのは、一般病棟に加え、障害者施設等一般、緩和ケア、回復期リハビリテーション、医療療養、特殊疾患という全12病棟512病床。徐々に増床を進め、2020年度にこの病棟構成となりました。以降、看護職は急性期・回復期・慢性期の患者さんに対応し、日常的に多職種と連携しながら療養生活を支えています。
同院では、このように多職種連携の必要性がより高まった状況を受け、特に日常的なかかわりの深い看護部とリハビリテーション部が話し合って、看護職と理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)らが一緒に学ぶ新人研修を実施しています。新人教育は、4月の集合研修、現場研修、フ ォローアップ研修(1カ月、2カ月、3カ月、6カ月、 12カ月)に、e-ラーニングを組み合わせて行っていますが、このなかの集合研修で、共通の基礎知識・技術、認識を共有したほうがよい学習内容について、多職種が同じ講義(以下、共通講義)を受けるようにしています。このスタイルは2020年度から始っており、前年度の受講生の意見なども参考にして、毎年内容の見直しを図っているといいます。


多職種が一緒に学ぶ共通講義では同期としての絆も生まれる
2022年に共通講義を受けた新入職者は、看護職17名、リハビリ職15名。取材に訪れた日には、ポジショニングや移乗、食事介助、酸素療法などについての研修が行われました。講師はすべて先輩職員が担当。受講者たちは、職種が交じり合うような人員構成でグループに分かれ、講義・演習を受けていました。
ポジショニングや移乗では、PT・OTから、安全・安楽な介助の仕方を学びました。最初は遠慮や戸惑いがみられた受講者たちも、患者役と介助者役にな って演習を繰り返すうちに、打ち解け、アドバイスし合う場面もありました。
食事介助では、OTとSTが講師に。誤嚥を防ぐためのポジショニングや食形態、介助方法について、デモンストレーションを交えて講義が行われました。一連の講義を通して、安全に食べられるよう支援することの重要性を確認しました。
酸素療法では、臨床工学技士と看護職が講義を担当し、医療用ガスの種類と注意点、酸素流量計や酸素ボンベの基礎知識、酸素療法のポイントについて解説しました。院内の設備や器材をモデルにした説明は、より現実感をもって受講者に受け止められたようでした。
共通講義でのグループは、集合研修が終わるまで変わりません。職種は異なりますが、メンバー間では「同期」としての絆が生まれ、配属後は多職種チ ームとして、よいかたちでその関係性は続いていくようです。



院内のコミュニケーションやほかの研修プログラムにも好影響が
「看護職はリハビリテーションスタッフと連携する場面が多く、退院調整に際してはカンファレンス以外にも、打ち合わせや情報交換をしています。HCU (高度治療室)や整形外科病棟から回復期リハビリテーション病棟へ転棟する患者さんも増えてきています。またコロナ禍では、看護職員の手が足りなくな ったとき、PTやOTのみなさんに業務の一部を助けていただいたこともありました。共通講義を取り入れた新人研修は、新入職員だけでなく、看護部とリハビリテーション部のスタッフ同士のコミュニケーシ ョンもよりスムーズにしているような気がします」
看護部で教育を担当する管理師長の池田真弓さんはこのように話します。そして、「ケアミックス型の病院だからこそ生まれた研修スタイルのなかで、新入職者には自分なりの強みをみつけてほしい、多様な看護を提供する当院ではそれを生かす場が必ずある」といいます。池田さんは、一人ひとりが強みをもつためにも、基礎を確実に身につけられる、体験を取り入れたプログラムづくりを進めています。
同院の現場教育の体制は「チーム支援型」。スタ ッフみんなによる人材育成を実践しています。そこには、教える側としての先輩スタッフにも学びがあります。育てることを人任せにせず、工夫していくことが、看護部が目指す「お互いを認め合い、補完し合えるチームづくり」につながっていくのかもしれません。


リハビリテーション部から

リハビリテーション部副部長
漂川亮輔さん
リハビリテーション部では、全国各地の学を卒業して集まってくる新入職員が多いです。 2021年度以降はコロナ禍の影響で実習が十分でないケースも少なくありません。そのため臨床に不安を感じるという人もいます。ですから、新人研修で看護職のみなさんと一緒に学べることは、とても有意義な経験であり、その後の業務連携に非常に役立っています。ほかの専門に対しても、きちんとコミュニケーションがとれるスタッフが多くなっていますね。
研修は看護師長などの指導を受けられる貴重な機会でもあります。看護分野の専門的な知識・技術を学べることは、患者さんに即したリハビリテーションを展開するうえでも大きな武器。「無理」ではなく「やってみよう」という姿勢がもてるようになると思います。
本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2022年8月号 TiaraNo.138より転載しています。
