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第15回看護実践学会学術集会ランチョンセミナー 〜看護とICT〜「スマートフォンを活用した検温表の自動入力システムの導入と運用」

ティアラNo.140の表紙看護情報誌ティアラ2023年2月号(No.140)掲載誌面PDFを読む
第15回看護実践学会学術集会ランチョンセミナー 〜看護とICT〜「スマートフォンを活用した検温表の自動入力システムの導入と運用」のサムネイル画像
石川県立中央病院での第15回看護実践学会学術集会の配信風景
石川県立中央病院での第15回看護実践学会学術集会の配信風景

2022年9月10日にオンライン開催された第15回看護実践学会学術集会において、「〜看護とICT〜『スマートフォンを活用した検温表の自動入力システムの導入と運用』」と題したランチョンセミナーが行われました。講師は鹿児島徳洲会病院看護部長の片田淑子先生。院内のIT化の一環としてスマートフォンと医療機器データ通信サポートシステムを活用して行った看護業務効率化の取り組みを発表しました。その内容をお伝えします。


講師:鹿児島徳洲会病院 看護部長 片田淑子先生
講師:鹿児島徳洲会病院 看護部長 片田淑子先生
座長:KKR北陸病院 看護部長 高橋ひとみ先生
座長:KKR北陸病院 看護部長 高橋ひとみ先生

スマートフォンによる業務完結を目指して選択した「二プロ HN LINE?」

 鹿児島徳洲会病院では、2021年12月の新館移転に際し徹底した業務の効率化を行いました。それに伴い、看護部でも「配置」「IT化」「機材導入」を3本柱に効率化を実施。IT化の一環として、PHSに代えてスマートフォン(日病モバイル/株式会社フロンティア・フィールド)を導入し、ナースコールと見守りカメラを連動させました。さらに、バイタルサイン測定装置を取り入れ、スマートフォンで業務を完結させることを目指しました。「バイタルサインは全専門職が医療・看護を提供するために必要な情報。迅速に情報が共有できる仕組みが求められ、それを構築することが効率化も加速すると考えました」と片田先生は話しました。

 そのために必要なツールを選択するなか、出合ったのが医療機器データ通信サポートシステム「二プロ HN LINE?」(ニプロ株式会社)でした。このシステムには、?バイタルサイン機器からの自動通信による自動入力、?輸液管理(アラート、オーダー照合、実施記録の電子カルテ連動)、?夜間帯などの見守りといった機能があります。採用に至った要因としては、Bluetooth?無線通信を使用し、スマートフォンに搭載したアプリケーションで操作できることが大きかったそうです。片田先生は「当院では、現在バイタルサインと血糖値の管理を行っています。バイタルサインではNEWSスコア*による早期警告指示が表示でき、患者さんの状態の変化が確認できるのも魅力でした」と述べました。

*英国で開発された早期警告スコア(NEWS:national early warning score)。バイタルサインの数値に応じたスコアで予測せぬ急変のリスクを判定する

スマートフォンによる業務完結を目指して選択した「二プロ HN LINE?」
オンライン開催された第15回看護実践学会学術集会のトップ画面

4回のバージョンアップを行い操作性・効率化を追求

 バイタルサインの管理の際の運用手順は、?スマ ートフォンのアプリケーション起動、?職員カードのICチップを読み取らせてログイン、?メニュー画面からバイタル管理をスタート、?患者用リストバンドのQRコード読み込み、?自動測定装置でバイタルサイン測定(データはBluetooth?無線通信を介し取り込み)、?測定を完了し測定結果画面で数値を確認、?意識レベルと酸素使用の有無を入力、? NEWSスコアによる早期警告指示が表示され作業終了(データは自動的に電子カルテ上の経過表に反映)、という流れです。

 概ねスマートフォンで操作できますが、「経過表にある観察項目は患者さんごとに項目内容が異なっているため、二プロ HN LINE?のアプリケーションに反映させることが困難です。現在もデータの自動送信とは別に入力作業が継続しています」と片田先生は現状を説明。これについては、スマートフォンでカルテのアプリケーションを開き、観察項目の入力を行う案を検討中だということです。

 二プロ HN LINE?による運用はまずいくつかの病棟で開始され、特に感染病棟では作業の簡素化とスタッフの負担軽減の効果が顕著だといいます。

 システム導入から約8カ月で4回のバージョンアップを実施。システムを運用しながら看護師の要望を確認し、送信時間の短縮、呼吸数自動取り込みモデルへの変更、職員ログ読み込みの簡素化など13項目の修正を行いました。片田先生は「小まめなバージョンア ップが可能だったのは、アプリケーションによる運用であったことが大きいと思います」と、二プロ HN LINE?によるシステム構築のメリットを話しました。

データの自動送信がもたらす業務の効率化を実感する看護師たち

 運用した病棟の看護師からは「データが自動送信される間に患者さんのケアを行うことができて効率的だと感じた」「多職種が直ちにデータを確認でき診療が効率的になった」「NEWSスコアが確認でき、患者さんの状態変化を把握できる」「非接触体温計が測定時間短縮化や感染対策に効果的だ」などさまざまな声が聞かれました。

 現在もアプリケーションの改良が継続しており、操作法・使用法については頻回な説明会の開催や手順書の作成を検討していきたいと片田先生。さらに「運用病棟を増やすことで、病院全体として情報が共有され、使用頻度も上がり、運用面について話し合う機会を増やせるのではないか」と述べました。

 セミナーの座長を務めたKKR北陸病院看護部長の高橋ひとみ先生は、医療・看護分野で進められているIT化の動きがコロナ禍で加速されている点を示し、そのうえで「今回の鹿児島徳洲会病院によるスマートフォンを活用したシステムは、使用と改良を繰り返しながらより使いやすい機能へと構築が進められており、ICT導入を検討している施設にとってよい実践例となると思う」と結びました。

第15回看護実践学会学術集会長から

看護実践学会とは

看護実践学会とは
石川県立中央病院 看護部長 江藤真由美さん

 看護実践学会(多崎恵子理事長/金沢大学臨床実践看護学講座教授)は、看護の実践と教育の課題について研究し共に学ぶことを目的に、石川県を中心に活動しています。看護研究会として発足し、2022年で39年になりました。会員数は約700名で、県外の方もいます。

 年に1回学術集会を開催し、日頃の看護実践の成果を発表し、意見を交換する場を設けています。そのほか、学会誌発行(ホームページ上で閲覧可能)、研究スキルアップ研修会・実践スキルアップ研修会開催などの活動を行い、臨床看護師が学ぶ機会となっています。

第15回学術集会について

 第15回看護実践学会学術集会は、「見つめなおす看護の本質と変革への挑戦−知識(HEAD)と技(HAND)に心(HEART)を込めて−」をテーマに、2022年9月10日にオンラインで開催しました。コロナ禍だからこそ看護の本質を見つめ直すことが必要ではないかと企画委員でテーマを練り、専門職としてこれからどのように看護を実践していけばよいかを考える学術集会を目指しました。集会当日の事前参加登録は627名を数え、さらにオンデマンド配信(9月16日〜10月17日)により多くのみなさんに視聴いただくことができました。

 集会を終えた今、参加いただいたみなさんに企画の意図を汲み取っていただけたのではないか、多くの発表者の多様な視点から看護について考えることができたのではないかと思っています。私自身、本会を経て、「患者さんに寄り添う」というこれまで看護師が着実に行ってきたことこそが、より求められている時代なのだと感じました。

〜看護とICT〜「スマートフォンを活用した検温表の自動入力システムの導入と運用」について

 今回の片田先生のお話で、特に「NEWSスコアの自動表示」と「感染病棟での運用」について興味をもちました。前者については、NEWSスコアが前回値とともに表示され比較ができること、現場でもれがちな呼吸数測定が自動で行われることにとても感心しました。後者については、コロナ禍のなか、多くの現場で求められるシステムの運用例であると思いました。

 三次救急を担う当院では、2022年5月にRRS(院内迅速対応システム)を導入しました。その実施面で参考になる点が多く、今後の展開を考えるうえでとても有意義な内容でした。

学術集会実行委員から

学術集会実行委員から
石川県立中央病院 看護部副部長 松田敏恵さん

 第7波のなかでの開催準備でしたが、無事に開催できてホッとしています。本会を通し、患者さんの訴えだけでなくその背景にも目を向けたコミュニケーションの重要性をあらためて確認することができました。

石川県立中央病院の学術集会準備委員のみなさん
石川県立中央病院の学術集会準備委員のみなさん

第16回学術集会大会長から

第16回学術集会大会長から
浅ノ川総合病院 副病院長・看護部長 中瀬美恵子さん

 第16回日本看護実践学会学術集会は2023年9月23日(土)にオンラインにて開催予定です。みなさんのご参加をお待ちしています。

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2023年2月号 TiaraNo.140より転載しています。

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