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第20回医療の質・安全学会学術集会教育セミナー(共催/ニプロ株式会社)「アラーム疲労を低減し、アラームに迅速に対応できるチームをつくる ─モニタアラームチーム:MACT立ち上げの旅に出よう─」

ティアラNo.160の表紙看護情報誌ティアラ2026年4月号(No.160)掲載誌面PDFを読む
第20回医療の質・安全学会学術集会教育セミナー(共催/ニプロ株式会社)「アラーム疲労を低減し、アラームに迅速に対応できるチームをつくる ─モニタアラームチーム:MACT立ち上げの旅に出よう─」のサムネイル画像

第20回医療の質・安全学会学術集会(2025年11月8〜9日/京都府京都市・京都市勧業館みやこめっせ)の教育セミナーにおいて、第47回医療安全管理者ネットワーク会議「アラーム疲労を低減し、アラームに迅速に対応できるチームをつくる─モニタアラームチーム:MACT立ち上げの旅に出よう ─」が開催されました。
講師の鈴木真先生が、生体情報モニタのアラーム対応についての検討と取り組み、MACT立ち上げについて発表しました。

3つのポイントからモニターアラームへの対応が語られた
3つのポイントからモニターアラームへの対応が語られた

生体情報モニタのアラーム対応には多くの課題、アラーム疲労はなぜ起こるか

鈴木真先生(社会医療法人友愛会TQM推進室)は、まず生体情報モニタ(心電図モニタ)にかかわる事故を日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業報告書などから分析し、事故の程度、分類、場面などを細かく説明し、要因を提示しました。要因は、主に入床操作、受信不良、アラーム対応、アラーム設定、点検にかかわることに分けられます。アラーム対応においては、鳴っていてもすぐに対応しない、まったく対応していないなど、起こってはいけないことが実際に起こっています。報告によると、死亡あるいは障害残存の可能性ありなど、事故の半数近くで何らかの影響が現れています。PMDA(医薬品医療機器総合機構)医療安全情報、日本看護協会による「一般病棟における心電図モニタの安全使用確認ガイド」、総務省による「医療機関における安心・安全な電波利用」に関する指針など生体情報モニタに関する使用の手引きがいくつも示されており、医療従事者はこれらをもとにモニタ対応を改善していかなければならないと鈴木先生は話します。

このように事故の要因となっているにもかかわらず、なぜ生体情報モニタのアラームに適切に対応できないのか ──── 第一にアラームを構成する種類に目を向け話は進められました。アラームの種類には、医療機器に関連したテクニカルアラームと生体情報上の異常を知らせるクリニカルアラームがあり、前者が圧倒的に多くなっています。さらにそれぞれのアラームには真陽性と偽陽性があります。

「本当に対応が必要な真陽性は限られている場合が多く、ほかのアラーム音に紛れて注目されなくなってしまう可能性が高くなります」(鈴木先生)

一方で、多くのアラームが鳴る環境下にいる医療従事者には「アラーム疲労」が生じているという指摘もありました。そして「アラームの80〜99%は不要あるいは回避可能なものだともいわれている。偽陽性率の高いアラーム音に絶えず曝露されていることでアラーム疲労を感じるようになると、やがてアラームに対する脱感作が起こり、アラームに対応しなくなって事故につながるリスクを高めることになります」といい、アラーム対応での大きな課題だとしました。

 安宅一晃先生<奈良県総合医療センター救急・集中治療センター長>
「座長」 安宅一晃先生<奈良県総合医療センター救急・集中治療センター長>
鈴木 真先生<社会医療法人友愛会TQM推進室>
「講師」鈴木 真先生<社会医療法人友愛会TQM推進室>

テクニカルアラームを減らそう医療安全管理者ネットワークの取り組み

このような状況を受けて、日本医療機能評価機構からはアラームのなかで最も多いテクニカルアラームを減らそうという提言が出されています。

医療安全管理者ネットワーク*1(以下、ネットワーク)でも、テクニカルアラームを減らすためにすべきことを検討することになりました。併せて、生体情報モニタに関し、何が安全を脅かしているのか、問題の根本原因は何か、安全な環境にするにはどうすればよいかなどについても考えていきました。

「ネットワークでは、2024年から25年にかけて4回の会議を行いました。課題を抽出して取り組みの方向性を決定し、グループワークにより意見をまとめていきました」(鈴木先生)

課題として上がった「アラーム対応」「生体情報モニタの運用と管理」「通信・連携」「人材・教育・運用」「運用ルールの整備」については、会議での話し合いのなかで、「モニタだけをチェックする『モニタ当番』を決めている」「呼吸数のアラームはオフにしている」などの実践的な報告があったり、「ナースコールやモニタ、センサーなどPHSへの連動を見直しては」「着脱基準がルール化されたらクリティカルパスに載せてはどうか」などの提案も出されました。

「重大なアラームに迅速に対応し、患者さんの生命や安全を守ることを目的に生体情報モニタは装着されます。であるのに、モニター対応ができていない現状がある。その原因はわかってきたので、それをもとに適切な使用基準を策定し、教育し、それが運用されているかをMACT*2がきちんと管理・評価していくことが解決につながる道だと思います」と鈴木先生は述べ、MACTの導入によりモニタアラームを取り巻く環境が改善した研究を紹介。「このようなエビデンスをきちんと示すことが理解につながる。周知を進めるには必要でしょう」と話しました。

*1 医療の質・安全学会内に構築された委員会組織。医療安全管理者が交流し、自らの質の向上、知識の蓄積・普及、安全管理についての意見交換・集約を目的とする。2026年以降は、管理者に限らず参加できるよう「医療安全ネットワーク」として再編予定。

*2 monitor alarm control teamの略。生体情報モニタによる医療従事者のアラーム疲労を防ぎ、患者さんの安全を守るために組織される多職種チーム。

ネットワーク会議での検討を受け友愛医療センターでMACTを立ち上げ

ネットワーク会議での話し合いと並行して、鈴木先生は自身が所属する社会医療法人友愛会の友愛医療センターでMACTの立ち上げを行いました。同院は地域医療支援病院として地域の急性期医療を支えており、日常的に多くの生体情報モニタが使用されています。

「アラーム対応については先に挙げられた課題も見受けられ、重篤なインシデント報告はなかったものの改善の余地はあるということで、 MACT立ち上げについて院内の同意が得られました」と鈴木先生。臨床工学科、集中治療室、医療安全管理室、TQM推進室などが参加し、2025年6月から取り組みをスタートさせました。

初回会議でまとめた行動計画により、一般病棟看護師や循環器内科医師、呼吸器内科医師などもメンバーに加え、現状把握のための調査(生体情報モニタの業務、アラームの発生状況、モニタアラームに関する意識調査:全看護師300余名対象)、院内統一手順書の策定、調査結果のフィードバック(動画を活用)、モデル病棟(循環器内科)での手順の導入などを実施しました。鈴木先生は「MACTは7月から始動しており、月に1回のラウンドで10項目についてチェックしています」とその活動について説明し、病棟による送信機や電極の保管方法の違いを発見した例なども紹介しました。引き続き、ラウンドを継続しながら、ラウンド前の会議、マニュアルの改訂、教育プログラムの見直しにも取り組む方向だといいます。

鈴木先生は最後に「目的を明確にして適切な生体情報モニタの使用を促進することで、アラームを適正化し患者安全の向上を図って行きましょう」と会場に呼びかけました。

座長を務めた安宅一晃先生(奈良県総合医療センタ ー救急・集中治療センター長)は講演を受け「実践的な情報もたくさんありましたので、ぜひ参考にしてください」と述べ、委員の1人としてネットワークの今後のあり方にも触れ、セミナーの幕を下ろしました。

医療安全にかかわる多職種が会場を埋めた。生体情報モニタのアラーム対応についての課題と対策に熱心に耳を傾けていた
医療安全にかかわる多職種が会場を埋めた。生体情報モニタのアラーム対応についての課題と対策に熱心に耳を傾けていた
鈴木先生は、さまざまな情報の活用からMACTの立ち上げまで幅広い内容に触れた
鈴木先生は、さまざまな情報の活用からMACTの立ち上げまで幅広い内容に触れた
自身も委員としてネットワークの取り組みに携わってきた安宅先生
自身も委員としてネットワークの取り組みに携わってきた安宅先生

本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2026年4月号 TiaraNo.160より転載しています。

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