
心のモヤモヤをスッキリ解決!

解説:泉本まり子さん<ベスリクリニック 臨床心理士>
今回のストレス|担当の男性患者さんから必要以上の好意を示されます。嫌でたまらず、うまくかかわれません。
患者さんからの好意は距離を取りづらいですし、仕事もしづらく、負担になってしまいますよね。
患者さんから治療者に対して向けられる好意を、精神分析においては「転移」と呼び、過去に体験した感情をほかの人に向けていると考えられています。その患者さんはあなたと接しているなかで、両親、家族、恋人などとの関係のなかで抱いていた感情を向けていたり、無意識のうちに叶わなかった欲求を満たそうとしているのかもしれません。対応としては、患者さんからの好意をそのまま受け止めすぎず、患者さん自身に何か別の問題があるのだと見守る姿勢が大事になります。
しかし、嫌な気持ちのままでは仕事がしづらいことと思います。このような場合は、「自分以外のスタッフも対応するようにして接触の頻度を減らす」「自分は仕事としてかかわっていることを明確にする」「患者さんが何か行動に移し始めたら相談できる人を決めておく」など、段階ごとの対処法をあらかじめ用意しておくと安心です。
一方で、治療者側から患者さんに向いた転移した感情を「逆転移」といいます。その嫌悪感は、もしかしたらあなたが日常的または過去に誰かに抱いていた感情かもしれません。その患者さんの何に嫌悪感を抱いているのか、自分の気持ちを整理してみることも必要でしょう。
好意をそのまま受け止めてしまわずに患者さんが何か問題を抱えていないか見守る姿勢で。
イラストレーション:イラストAC
本記事はニプロ株式会社発行の看護情報誌「ティアラ」2020年4月号 TiaraNo.127より転載しています。