グンゼ株式会社
監修者の記事一覧2015年12月13日(日)、「新生児のスキンケア『新生児の肌の特徴と肌トラブルの予防』~妊産婦への適切な指導方法も学ぼう~」が東京都港区(株)エス・エム・エス本社セミナールームにて開催されました。
乳幼児の皮膚トラブルを予防するためには、スキンケアが大切です。
しかし、入院中に沐浴指導はしていても、スキンケア指導を行っている施設は 少ないのではないでしょうか。ここでは講義のなかから、 妊産婦に適切なスキンケアを指導する上で、役立つエッセンスを紹介します。
乳幼児の皮膚トラブルを防ぐためには、①乳幼児期の肌の知識を備えた上で、②清潔にして③保湿することが大切です。
新生児期は皮膚が薄く、バリア機能が弱いなど、皮膚もまだ発展途上にあります。加えて月齢や産まれた季節、体質によっても皮膚の状態は異なります。ですから、その月齢に合わせた清潔・保湿ケアを行うことが重要なのです。
たとえば、乳児の皮脂量は月齢によって大きく変化します。生後2週間〜1カ月をピークに皮脂の分泌が多く、脂漏性湿疹などが起こりやすくなりますので、しっかりと清潔ケアを行いましょう。
2・3カ月以降は、皮脂量が急激に減りはじめるため、特に意識して保湿ケアを行う必要があります。さらに、外出可能な時期になると、上記の3つに加え紫外線を防ぐUVケアも必要となります。
皮膚を清潔に保つ『洗浄』
皮膚トラブルを防ぐためにはまず清潔に
乳児は汗をかきやすく、頻繁な授乳や溢乳、おむつの着用などにより皮膚が汚れやすい状態にあります。そこで、汚れを落とし、清潔にすることが皮膚トラブルを防ぐ基本となります。
沐浴の際、お湯の温度は37~39℃とぬるめに設定しましょう。40℃以上では、皮膚の角層が膨張し、セラミドなどの保湿因子が流れ出て、乾燥肌になりやすくなります。また角層の膨張を防ぐため、できる限り沐浴は短時間ですませるようにします。
洗浄剤は低刺激性ですすぎ落ちのよいものを選びます。泡タイプの洗浄剤は泡がお湯の中に散ってしまうので、沐浴槽の外での使用がお勧めです。頭髪に皮脂が多い場合は、一般的に石鹸よりも洗浄力が強いシャンプーを使うとよいでしょう。
洗うときは、ごしごしとこすらずに泡でやさしく洗うようにします。最近では、ガーゼを使わずに手でやさしく洗うように指導する医療施設が多いようです。また皮膚に洗浄剤が残ると、皮膚トラブルの原因になることもあるため、よくすすぐことも大切です。
特に首や手首のしわの間には汚れや洗浄剤が残りやすいので注意しましょう。洗浄剤で洗顔した場合は、3回以上、拭き取りましょう。顔も身体も、できればシャワーを使用し、きちんと流してあげるほうがよりよいでしょう。
こうしたケアは初めて新生児のお世話をする初産婦にとって簡単なことではありません。そこで、新生児期は沐浴剤を使用するのも一つの方法です。沐浴剤は洗浄剤に比べて滑りにくく、すすぎが不要なので、沐浴が簡便にしかも短時間で行えます。
また、製品によっては、保湿効果や湿疹などを防ぐ成分が含まれているものもあります。しかし、なかには沐浴剤で本当に汚れが落ちるのだろうかと疑問に思う人もいるかもしれません。
確かに洗浄力を比較した場合、洗浄剤の方が洗浄力は強いのですが、新生児を対象に沐浴剤使用群と石鹸の使用群を1カ月検診まで比較検討したところ、皮膚の清潔度はほぼ同等という結果が出ています1)。
ただし、沐浴剤を使うときも、手やガーゼなどでやさしく、ていねいに洗う必要があります。お湯につけるだけでは汚れは落とせませんので注意しましょう。沐浴剤では、中に含まれる界面活性剤が汚れに付着した上で、そこに物理的な力が加わることで汚れが落ちるからです。
洗浄剤でも沐浴剤でも、間違った使い方をすると皮膚トラブルの原因となります。お母さんに聞かれたときは、正しい使い方を指導することが大切です。

【スキナベーブを使った沐浴デモンストレーション】
セミナーでは、持田ヘルスケア圓山さんによる沐浴剤(スキナベーブ)を使用した清潔ケアが紹介された。洗浄剤を泡立てたり、すすぐ必要がないため、沐浴をスムーズに短時間で行うことができ、お母さんたちの負担軽減につながる。
次ページは:乾燥を防ぐ『保湿』について解説します。
乾燥を防ぐ『保湿』
皮膚をしっかり保護する対策を
皮膚が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下し、さまざまな皮膚トラブルの原因となるため保湿ケアが大切です。保湿ケアにあたっては、まず保湿剤の種類について知っておきましょう。保湿剤は大きく分けて、ワセリン、ベビーオイルなど油性成分のものと、ベビーローションなど吸水性・吸湿性のあるものがあります。
ジェル、ローション(乳液タイプ)、クリーム等は油分と水分を両方とも補うことができます。油性成分のみの保湿剤は、皮膚の表面に油脂膜を作り、水分の蒸発を防ぎますが、水分を補うことはできません。
そのため油性成分の保湿剤を塗る前に、吸水性・吸湿性のある保湿剤を使う必要があります。それぞれの特徴を知って、赤ちゃんの皮膚の状態や季節、使用感なども踏まえて、使い分けるとよいでしょう。
保湿ケアは1日2回以上行いましょう。特に入浴後は、角層に保湿剤が浸透しやすいといわれています。また、洗浄により皮脂膜も洗い流されて乾燥しやすくなっていますので、できるだけ早めに保湿ケアするのが効果的です。
動きが活発になり、全身に保湿剤を塗るのが難しいときは、保湿系の入浴剤なども便利です。沐浴剤を使う場合も乾燥が気になる部分には保湿剤を使いましょう。
保湿剤を塗布するときはこすらないように注意しましょう。ローションやジェルであれば皮膚に少しずつのせて、指の腹で広げていくようにします。クリームや軟膏は、手のひらの中で温めながら伸ばし、軽く押さえるように塗りましょう。
最近では、生後早期からのスキンケアが皮膚を守るだけではなく、アトピー性皮膚炎のリスクを軽減するといった研究結果も報告されています2)。妊産婦さんに肌の知識を伝えた上で、新生児から適切なスキンケアを行えるように指導してほしいと思います。
また、お母さんにとってスキンケアが負担にならないよう、沐浴剤や保湿系の入浴剤の利用など簡便な方法を提案することも大切です。
【引用文献】
1)高橋悦二郎,他:シンポジウム小児のスキンケア.日本小児皮膚科学会雑誌 1990;9(2).
2)Horimukai K,et al:Application of moisturizer to neonates prevents development of tatopic dermatitis.J Allergy Clin Immunol 2014;134(4):824-30.e6.
(『ナース専科マガジン』2016年4月号から改変利用)
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