死を前にした患者さんの家族に、成人前の子どもがいるケースは少なくありません。そのような子どもに対して、「どう声をかけていいのか、迷ってしまう」「何をすればいいのか、わからない」などと悩んだり、戸惑ったことがあるのではないでしょうか。
第1回は、現場でそのような戸惑いの生まれる理由について、患者さんや子どもをとりまく状況面から考え、医療者側によるアプローチの可能性について触れます。
本当の病名を知らされずいら立つ子ども
看護師のAさんは、子どもに親の病名を告知するほうがいいのかどうか、考えさせられた事例を受け持った経験があります。
40歳代の肝臓がんの患者さんは、妻(40歳代)と2人の息子(高校2年生と中学3年生)との4人家族でした。患者さんご本人、妻、そして長男は、病名、病状に関する説明を受けていたのですが、次男は高校受験を控えているという理由から、父親の病気の詳細を知らされていませんでした。
入院1カ月が経とうというころから、次男の言動に変化がみられました。父親の病状が一向によくならない状況に不安が募るとともに、病名や病状について、母や兄、看護師に質問をしても答えてもらえないことにいら立っているようでした。
特に看護師に対して、「その点滴は何か?」など、薬や検査、処置について、かまをかけるような質問を重ねてきます。Aさんは、「弟さんは、父親の病状にうすうす気付いているのかもしれない。このまま、家族のなかで一人だけ、知らされなくていいのだろうか」「最期になって、弟さんが本当の病状を知ったとき、父母や兄に対して怒りを抱くのではないだろうか」と感じました。
子どもへの対応に看護師がもつ戸惑い
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