患者さんと家族への生活支援・指導の方法【てんかん看護 Q&A】のサムネイル画像
解説
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石原己緒光

静岡てんかん・神経医療センター 院内認定てんかん 看護師

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Q1.てんかん患者さんへの生活支援・指導で特に意識していることを教えてください。

解説

 てんかん患者さんの生活支援に決まったテンプレートはありません。患者さん一人ひとりの「やりたいこと」に対し、看護師は「どうすれば安全に行えるか」を患者さんと共に考えることが大切です。
  患者さん自身が「なぜその行動が危険か」を正しく理解し、納得したうえで行動を選択できるように導くため、具体的に以下の3つの点を意識して支援を行います。

「制限」から「代替案」の提案へ

 日常生活において「禁止」するのは簡単ですが、それでは患者さんの可能性を奪ってしまいます。看護師の視点から「何が心配か」を伝え、代わりの方法を一緒に探ります。

退院後の自己管理を見据えた指導

 入院中は「自分の安全を自分で守る」ための練習期間です。単に指示に従わせるのではなく、患者さん自 身で考え、選択する力を培えるようかかわります。

「服薬アドヒアランス」向上への支援

 医師の指示に従う「コンプライアンス」から、患者さん自らが治療を理解し、主体的に参加する「アドヒアランス」の確立を目指します(なお、昨今は、これらを含めて「コンプライアンス」と表現することもあります)。

大事なことは「服薬を忘れないこと」「忘れても気づけること」「忘れたときに対謝できること」の3点です。

Q2.患者さん自身が発作パターンを把握し、日常生活の対策に繋げるために、どのような指導をしていますか?

解説

 日記によるデータの蓄積は、正確な診断・治療に役立つだけでなく、患者さん自身が発作パターンを把握し、コントロールするための強力な材料になります。

日記に記録してほしい項目

※「睡眠不足」や「ストレス」が一般的な誘発因子とされますが、実際は人それぞれです。一律に制限を課すのではなく、「その患者さんの発作パターン」を見極めることが重要です。

日記からみえた発作パターンに対する具体策(例)

 発作の誘発要因や前兆などがわかれば、行動を工夫することで発作を回避・軽減できる可能性があります。回避できない状況であっても、どういう状況で発作が起きやすいことがわかっていれば、家族が備えることもできます。

 すべての患者さんに明確な要因がみつかるわけではありません。しかし、日記を通じて「患者さんの発作のパターンを見極め、それが何を意味しているのか」を一緒に探るプロセスそのものが、患者さんの安心と、自分で自 分を守る力を育む第一歩になります。

 また、日記によって発作がいつ、どのようなものがあったかがわかるので、主治医に報告しやすくなります。それは、患者さんの治療においてとても需要な情報になります。

Q3. 家族への精神的サポートで特に意識していること・大切なことはありますか?

解説

 患者さんと家族は互いに影響し合うため、家族が安心することは患者さんの自立にも繋がります。家族の漠然とした不安を解消するため、特に以下の3点を意識して支援します。

生活細部のヒアリングに基づいた「具体策」の提案

 患者さんや家族の生活状況を聞いたうえで、その生活状況のなかにどのような発作の危険や心配があるかをヒアリングします。そして何が危険なのか、どうすれば対応できるのかを一緒に考えます。基本的に患者さんが危機回避を行いつつ、それでも危険性が高い場合に、家族に協力を仰ぎます。

プロとしての「慌てない看護」の提示

 大きなけいれん発作はご家族にとって衝撃的な光景です。だからこそ、医療者が動じず、落ち着いて対応する姿をみせることが、言葉以上に強力な安心材料になります。

 また、発作が続きやすい患者さんの場合、家族の心配は尽きないことでしょう。そのため、どのような状況になったら、屯用薬(ホリゾン、ダイアップ座薬、スピジア、ブコラム)を使用するべきか、どのように使うかといった対応方法もあわせて学んでもらいます。

 看護師が付き添いながら、安全に発作への対応や観察方法を学んでもらうことが大切です。退院までに、どのようになったら屯用薬を使用するのか、病院に行くべきか、明確なタイミングを主治医と相談したうえで伝えします。

疾患に対する「正しい知識」の提供

 診断直後の落ち込みを受け止めたうえで、「てんかんの多くは薬でコントロールできる」といった知識を伝えます。予後が難治に経過する診断に関しては、特に過度な期待をもたせすぎない配慮は必要ですが、現状の課題と「今できること」を示すことで、過度な恐怖心を減らし、家族全体で前向きに向き合えるよう支えます。

 できなくなることを数えてしまい、つらくなる患者さんや家族もいます。そのため、どのような工夫をすればできる可能性があるのか、どのようになったらできるのか、良い方法を一緒に考えます。

 薬を忘れずに服用することや、規則正しい日常生活を送ること、また誘発因子を知ってそれを避けることなど、てんかん発作の再発予防の手段を学んでもらいます。同時に、過度な安全配慮は、患者さんのQOLの低下にも繋がる可能性があることを知ってもらいます。

 疾患に対して工夫をすることで、生活をよりよくできると知ることは、生きていくうえで大きな活力となります。

参考文献

・てんかん情報センター:発作ノート.静岡てんかん・神経医療センター(2026年4月25日閲覧)https://shizuokamind.hosp.go.jp/epilepsy-info/news/n2-10/

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