がん患者の外見支援に関するガイドラインの構築に向けた研究班は、「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」を発行しました。この本は、治療編と日常整容編の2部に分かれ、エビデンスとともにケアについてまとめられています。
今回は、この本の内容や医療従事者がどのようにかかわるとよいのかを解説します。
外見に現れる副作用に患者さんが抱える思い
近年のがん医療の進歩は目覚ましく、それに伴ってがんの5年生存率は上昇、がんと共に生きる患者さんが増加しています。しかし、手術、抗がん剤、放射線などによる集学的、積極的ながん治療では、高い効果は期待できますが、身体への侵襲性からさまざまな副作用も出現します。それらは、患者さんにとって、避けることのできない苦痛です。
なかでも、外見の変化は、身体的だけでなく精神的にも苦痛となり、患者さんにとって、医療者が考える以上に深刻なストレスになることが少なくありません。
当院で乳がん患者さんに対する副作用の苦痛度を調査したところ、「髪・まゆ毛・まつげの脱毛」「乳房切除(乳房欠損)」「体表の傷」「手の爪割れ・二枚爪」などが高い苦痛度を示し、苦痛度の高い副作用上位20のうち60%が外見に現れる症状でした(2013年)。
しかし、吐き気や痛みなどが治療計画の中で対処される一方で、外見の変化については、直接生命にはかかわらないとして長い間軽視され、近年ようやくケアの必要性が認識されるようになってきたところといえます。
がん治療と並行して社会とかかわりをもちながら生活する患者さんは、外見の変化により、「自分らしくなくなった」「魅力がなくなった」と感じ、周囲からの評価もまた低下するのではないかと疑います。
さらに、病気や死を常に意識させられることで、他人と対等な関係を保てなくなることを恐れます。外見の変化による苦痛には、患者さんの生活と社会との接点が大きくかかわっているのです
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