はじめに
クローバーホスピタルは、回復期・慢性期の医療を担う170床の在宅療養支援病院です。「地域に密着した入院のできる在宅医療」「医療のある介護の実践」という理念のもと、地域に貢献する医療を目指し、数度の増床を経て現在に至ります。
中小規模の病院ではありますが、「働き方改革」「多職種連携」「意思決定支援」などに積極的に取り組むほか、新型コロナウイルス感染症禍(コロナ禍)においては、発熱外来の開設、新型コロナウイルス感染後に症状が改善した転院患者さんの受け入れ、新型コロナワクチン接種など、できるかぎりのことに対応してきました。
コロナ禍で情勢が厳しいなかでも、多職種が連携し、入退院調整を行うことで効率的な病床運営を実現し、タスクシフト・シェアにより負担軽減にも努めています。今回は、当院のさまざまな取り組みのなかで、回復期リハビリテーション病棟(回リハ病棟)における多職種連携についてまとめました。
病院、法人の概要
当院は、外来、地域包括ケア病棟46床、回リハ病棟60床、特殊疾患病棟33床、医療療養病棟31床、在宅診療部及び同法人内に老人保健施設、訪問看護ステーション、有料老人ホームなどを備え、地域の医療・介護を支えています。
慢性期病棟では看取りまで行い、回復期病棟では急性期病院や地域から患者さんを受け入れ、在宅への復帰を支援する役割を担っています。
また、2017年から、地域連携部に入退院支援看護師を配置しています。入退院支援看護師を配置して地域連携部の充実を図ったことで、手厚い前方支援・後方支援、円滑なベッドコントロール、患者さんや家族への細やかなかかわりの実現につながっていると考えています。
2021年度回リハ病棟の実績と多職種連携
当院は施設基準回リハ病棟1を取得しており、2021年度の要件は、①在宅復帰率70%以上、②重症者率30%、③重症者回復率30%でした。一方で、2021年度回リハ病棟の入院数は310名(運動器疾患46%、脳血管疾患49%、その他5%)で、患者さんを受け入れるにあたり各要件をクリアするためには、入院時より退院後を見越して調整する必要がありました。
限られた病床を円滑かつ効率的に運営するためには、看護部、リハビリテーション部(リハ部)、地域連携部、在宅診療部などによる多職種連携に加え、回リハ病棟への入院では、受け入れ患者さんの多い他院との連携が不可欠です。また、2021年度の退院患者さんは282名で、在宅復帰率は81%(退院先は自宅及び自宅に準ずる施設が69%、同法人内の施設や在宅診療部が12%)であり、地域連携や法人内連携も欠かせません。
回リハ病棟は、常に満床に近い状況です。看護師、看護補助者、医療ソーシャルワーカー、入退院支援看護師、薬剤師、栄養士がタスクシェアをしたり、情報共有したりすることで、患者さんや家族への細やかなかかわりを実現しています。
特にコロナ禍以降は、患者さんと家族が面会できない状況が続いているため、リハ部や地域連携部との情報共有は必須です。多職種とのカンファレンスで、リハビリテーションの進み具合、リハビリテーション時の患者さんの様子・状態はもちろん、今後の退院先なども含めて確認することで、家族に対する情報提供へとつなげています。
入退院調整の状況
限られた病床を最大限かつ有効にコントロールするために、ベッドコントロールは病棟師長が担っています。地域連携部の前方支援・後方支援、入退院支援看護師、在宅診療部といった関連部署や各担当者と密に情報交換するのとあわせて、空床状況を把握し、入院を受け入れています。
病棟での朝礼や引き継ぎ、カンファレスも多職種で行うため、患者さんや家族の状況、さまざまな問題や指導の進捗状況がわかり、病床を管理する看護師長は退院日の調整が早くでき、入院調整がしやすくなります。結果として稼働率の向上、平均在院日数の短縮につながっています。
日々の情報交換以外にも、月に一度「在宅と病院の連携会議」を開催し、看護部と地域連携部及び在宅診療部が情報共有を行っています。現在、コロナ禍以前にはできていたことができなくなっていますが、そのようななかでも、オンラインや電話でのインフォームドコンセントや面会、指導などを組み合わせ、個々の患者さんや家族に合わせた対応ができるよう努めています。
おわりに
中小病院においては、患者さんをいかに獲得し安定的な経営をしていくか、また、安定的に人員を確保し、いかに定着させていくかが大きな課題です。
病院内連携、法人内連携、地域との連携に取り組み、社会資源を有効に活用していくことが求められますが、部署や部門の垣根を越えて連携していく過程では、スムーズにいかない場面もあります。
経験年数も仕事内容も異なる専門職同士の連携を円滑にするには、相手を尊重し、それぞれが専門職としての役割を遂行するのと同時に、情報を共有し、常に患者さんや家族を中心に据えて対応することで、成果があげられることを実感しています。
人員にばらつきが出た際は、どの職種もすぐに補充とはいかない場合も多くありますが、既存の形にとらわれず、役割分担して臨機応変に対応する柔軟性も必要です。
組織の理念、職員がその方向性を見失うことなく、やりがいをもって働けること、働きやすい職場の雰囲気を醸成すること、環境を整えていくことが重要であると考えています。
参考文献
●長谷川よし子:地域包括ケア病棟における多職種連携~入退院調整に焦点を当てて.地域連携 入退院と在宅支援 2022;15(2):63-7.
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