
気管支喘息は近年、薬物治療の進化により、死亡率は年々低下していますが、重症化すると死に至ることも少なくありません。
そこでここでは気管支喘息の症状や診断、治療などの基本を押さえながら、発作時の観察や重症度の評価から、酸素投与器具や吸入器具の取り扱い方までを解説します。
気管支喘息とは
病態
アレルギー反応や細菌・ウイルス感染などが発端となり、慢性的に気管支に炎症を起こしている状態です。好酸球やマスト細胞などの炎症細胞が放出するヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が、気管支平滑筋を収縮させて気道を狭窄させます。
加えて刺激に対して気道が過敏になっており、刺激因子によって喘息発作を引き起こします。症状のコントロールが不良の状態が続くと、発作により、障害された気道壁が線維質に置き換わり肥厚し、気道の内腔が狭小化していきます(リモデリング)。
症状と所見
発作性の気道収縮による咳嗽、ヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴、呼吸困難などの症状がみられます。ひどくなると呼吸が苦しくて寝ていられない起座呼吸の状態になります。
また、強い胸痛や、気道部分が腫れて痛んだり、外見が卵白のような痰が出たり、背中が張ったりするなど、人によってさまざまです。症状は氷山の一角のようなもので、慢性的に存在する気道炎症と気道過敏性、気道閉塞からこうした症状が表れます。そのため、非発作時でも慢性気道炎症による喀痰や労作時息切れなどがあります。
重症であれば、誘因によっては容体が急激に変化し、チアノーゼや意識障害を来し、喘息死(窒息死)に至る場合もあります。
診断
前項のような自覚症状、身体所見から喘息が疑われる場合、胸部X線写真、血液検査、IgE検査などが行われます。喘息は可逆性の気道閉塞が特徴なので、肺機能検査による、気管支拡張薬の吸入前後の検査を行います。
まずは1秒率(FEV1.0%)が70%以下であるか否かで気道の閉塞の有無を確認します。その後、気管支拡張薬(β2 刺激薬)の吸入を行い、1秒量が有意に変化するか否かで、可逆性を判断します。ただし、気道のリモデリングが起こっている場合は典型的な可逆性を示さないことが多くあります。
図1 気管支喘息の改善率

治療
以前は気管支拡張作用のある内服薬による治療が中心でしたが、現在では、吸入ステロイド薬を継続的に使用することによって、炎症を抑え喘息発作を起こさないようにする治療へと方針が大きく変わりました。
発作時にはβ2刺激薬を使用し、気管支を一時的に拡張させます(図)。治療の進化により、喘息による死亡者数は1995年の7253人をピークに、2011年は2057人と年々減少しています。
図2 喘息の病態と吸入薬治療

喘息は軽症から喘息死を来すような重篤な状態まで幅広く、日本アレルギー学会の「喘息予防・管理ガイドライン2009」のガイドラインで、重症度ごとに薬物療法が示されており、それに応じて治療していくのが一般的です。
ほとんどが在宅治療となるので、患者さんのセルフコントロールが重要です。正しい薬物の使用や発作の誘因となる因子を防止するなど、正しい治療によりコントロールが可能な疾患になってきています。
気管支喘息の病状の観察と評価
低酸素症
喘息発作の患者さんをケアする場合に、最も大切なのは低酸素症を見逃さないことです。意識レベルの低下がなく、会話が普通にできる程度の発作であれば、低酸素症(SpO2<90% または PaO2<60Torr)を呈することはまれです。
逆に呼吸困難が悪化しているような状況では、通常の吸気・呼気ができなくなってくるために、会話はとぎれとぎれになります。一度に文章として話すことができず、単語だけを話すような状態であれば、喘息発作の重症化の危険があり、SpO2の持続的なモニタリングによる観察が必要です。
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