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他の誘導への変更はできる?

患者さんの体格や電極の位置、皮下脂肪の厚さ、胸水の貯留や皮下気腫など、さまざまな要因でⅡ誘導が見えにくいケースは確かにあります。こうした場合、電極を貼り替えなくても、モニター側で表示する誘導を切り替えれば、同じ患者さんの波形を別の角度から見ることができます。

ここで気を付けたいのが、モニター心電図の誘導を変えるということは、「心臓を観察する視点(向き)が変わる」ということです。これは、体表に貼付した電極から得た信号を「どの方向から見るか」という「見方」を切り替えているためであり、この視点の変化を常に意識しておく必要があります。

波形が見えにくくなる原因を確認

一般に用いられている3点誘導(右上胸部・左上胸部・左下胸部)では、多くのモニターでⅠ・Ⅱ・Ⅲ誘導の切り替えが可能です。

臨床で見る頻度が高いⅡ誘導はP波やQRS波が見やすく、基本の誘導としてよく使われますが、患者さんの体格や心臓の向き、電極の位置、体動、筋電図の混入、ドレーンや創部の位置などの影響により、P波が見えにくい、QRS波が小さい、基線が揺れる、T波とP波が重なるといった現象が起こることがあります。この場合、モニターの操作でⅠ誘導やⅢ誘導に切り替えることで、波形の改善が期待できます。

ただし、Ⅱ誘導が見えにくいからといって、すぐに誘導だけを変えればよいわけではありません。まずは見えにくい原因を確認することです。臨床現場では、電極が浮いている、発汗で粘着力が落ちている、皮膚が湿っている、体毛で密着していない、寒さによる震えで筋電図が混入している、体位変換後にコードが引っ張られているといったケースがみられます。

これらが原因であれば、誘導を変える前に皮膚を清拭し、必要に応じて電極を交換したり、コードの接続を確認したりするのが先決です。例えば、皮膚が湿ったままの状態であれば、誘導を変更して一時的に見やすくなっても、同じような現象はまた起こるでしょう。

誘導変更の理由と波形の変化を記録

前述したとおり、誘導を変えると心臓を見る方向が変わるため、波形の形も変わります。例えば、Ⅱ誘導では高かったR波がⅠ誘導では小さく見えたり、Ⅲ誘導ではT波が下向きに見えたりすることがあります。

そのため、やむを得ず誘導を変更する場合には、「誘導を変更した理由」と「誘導変更に伴う波形の変化」を記録に残すことが重要です。波形の変化がみられた際に、誘導を変えたことによるものか、病態の変化によるものかを区別するのに必要な情報となるためです。

誘導の変更は、P波が見えにくいとき、期外収縮や頻脈によってモニターが心拍数を誤認識してしまうとき、特定の誘導で筋電図が強く入ってしまうときなどに検討します。誘導変更は単に波形を見やすくするだけでなく、安全なモニタリング環境を整え、患者さんの状態を評価する際の判断材料を増やすことにもつながります。

Ⅱ誘導が見えにくい場合の対応の流れ

実際にⅡ誘導が見えにくい場面に遭遇したときは、まず患者さんの状態をアセスメントし、循環動態に問題ないことを確認します。次に電極の密着度やコードの接続、皮膚の状態を観察し、それでも波形が改善しない場合は、他の誘導への切り替えを検討します。

モニター心電図の本来の目的は、不整脈の出現、心拍数や波形の変化などをモニタリングすることであるため、P波・QRS波・T波・リズムが観察しやすい誘導を選択します。ただし、誘導の変更は「見え方を変える操作」にすぎず、電極の不具合や患者さんの状態変化を放置してよいわけではありません。

誘導を変更した際は、どの誘導で観察しているかを記録し、チームへ申し送りをしましょう。患者さんに何らかの症状が出現したり、波形変化が疑われたりする場合は12誘導心電図を準備し、医師へ報告することが臨床に即した対応です。

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