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ペースメーカーとは

ペースメーカーとは、心臓の電気的活動が不十分なとき、代わりに電気的刺激を作り出して心臓の動きを安定させるための機器です。主に、洞不全症候群や高度房室ブロックなどの徐脈性不整脈に対して用いられます。

通常、心臓の拍動は、右心房の洞房結節から電気的刺激が発生することにより始まります。電気的刺激が房室結節→ヒス束→右脚・左脚へと伝わることで心筋が収縮し、心臓が拍動しますが、刺激の伝導が遅れたり途切れたりすると、心筋の収縮する間隔が空き、一時的に拍動が止まってしまうことがあります。そこで、ペースメーカーが代わりに電気的刺激を送って心拍を維持するのです。

今回の質問の患者さんは植え込み術後とのことですので、鎖骨付近の皮下にペースメーカー本体が埋め込まれ、本体につながっているリードが鎖骨下静脈もしくは腋窩静脈を通って心臓内の適切な箇所に留置されている状態と考えられます(図1)。

図1 ペースメーカー挿入イメージ

ペースメーカー挿入イメージ

術後にモニター心電図を装着する目的

術後にモニター心電図を装着するのは、心拍数を見るためだけではありません。「モニター波形上にペーシングスパイクが出ているか」「そのスパイクのあとにQRS波が続いているか」「自己脈とペーシングの関係はどうなっているか」を観察し、ペースメーカーが適切に機能しているか評価したり、異常の早期発見につなげるという目的もあります。

特に術直後は、リードの位置ズレ、ペーシング不全、気胸、創部の出血や血腫といった合併症が起こる可能性があります。モニター心電図の波形は、こうした異常を早期に発見するための重要な情報源となるため、「合併症の徴候を見逃さない」という目的意識をもって継続的に観察していきましょう。

電極貼付位置の選択のポイント

モニター心電図の電極を貼る際は、ペースメーカー本体が埋め込まれた創部やドレッシング材の上は避けるようにします。

術直後の創部は不安定な状態で、ガーゼやドレッシング材で保護されています。そこへ電極を貼ってしまうとノイズが混入しやすくなり、波形を適切にモニタリングできなくなります。また、術後の創部観察の妨げになるうえ、電極を付け替えるたびに創部やその周囲の皮膚が引っ張られ、痛みや出血を引き起こすことも考えられます。そのため、創部やその周囲は避けて、体動や発汗があっても剥がれにくい位置を選ぶことが適切なモニタリングにつながります(図2)。

図2 モニター心電図の電極貼付位置の例

モニター心電図の電極貼付位置の例

電極の位置を適宜調整して、スパイク波とQRS波の関係が見やすい誘導を探すことも大切です。基本的には、「幅広いQRS波の直前にスパイク波がある」のがペーシング波形の基本となりますので、しっかり押さえておきましょう(図3)。

図3 ペーシング波形のイメージ

ペーシング波形のイメージ

電極貼付後の確認項目と異常時の対応

電極を貼付したあとは、QRS波が正しく検出されているか、ペーシングスパイクが見えているか、スパイク波のあとにQRS波が続いているかを確認します。さらに、モニター上の心拍数(HR)と実際に触診した脈拍数にズレが生じていないかを確認することも必要です。

もし、スパイク波が出ているのにQRS波が見られない場合や、モニター画面ではHR60回と表示されているのに橈骨動脈で脈が触れないという場合は、患者さんの状態を確認するのと同時に、医師へ報告します。

イラスト/たかはしみどり

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