SaO2(SpO2)とPaO2の関係と正常値を知ろうのサムネイル画像
解説
宮川哲夫のプロフィール画像

宮川哲夫

昭和大学大学院 保健医療学研究科呼吸ケア領域 教授

解説者の記事一覧

ここでは、SpO2が低下したときのアセスメントを学んでいきます。SpO2は身近な検査値であるため、ついルーチンのチェックになってはいないでしょうか。
数値の増減だけでなく、それがどのような意味を持つかを知ると、その後の対応が判断できるようになってきます。


【サチュレーション(SpO2)のまとめ記事】
サチュレーション(SpO2)とは?基準値・意味は?低下の原因と対応


酸素解離曲線が表すもの

 酸素は、血液中に取り込まれ、ヘモグロビンと結合して運搬されます。すべてのヘモグロビンが酸素と結合すればSaO2は100%となり、これが最高値となります。

 一方、PaO2は患者さんの年齢や疾患、病態によって変化するため、正常値は80~100Torrとされ、これに伴って、SaO2の正常値も95 ~ 98%となっています。

 このようにSaO2の値、つまりヘモグロビンと酸素の結合率はPaO2によって決められます。ですから、酸素化を評価するためには、この両方を見ていかなければなりません。

酸素解離曲線(図)は、酸素飽和度(ここではSaO2とする)と酸素分圧(ここではPaO2とする)の関係を表したもので、PaO2が上昇するとSaO2もそれに合わせ上昇していることがわかります。つまりSaO2が下がったときは、PaO2も下がっているということになり、SaO2とPaO2のいずれかの値を見ることで、もう一方の値を知ることができます(※室内気吸入酸素濃度21%、pH7.40、PaCO240Torr、体温37℃の場合。条件に大きく差があるとあてはまらなくなります)。

図 酸素解離曲線

酸素解離曲線

SaO2値とPaO2値の覚え方

 この酸素解離曲線に照らし合わせれば、SaO2(SpO2)測定時にはPaO2値も推測できることになります。しかし、素早い評価が求められることの多い臨床では、それはなかなか難しいもの。そこで、ここでは覚えておきたいポイントを紹介します。

 まずは、SaO2とPaO2の正常値を覚えます。これは「PaO2 80 ~ 100Torr、SaO2 95 ~ 98%」となります。

 そして、呼吸不全の定義となる「PaO2 60Torr、SaO2 90%」を覚えておきます。図を見るとわかるように、ここから曲線は急激に下降していきます。つまり、「PaO2 60Torr、SaO2 90%」以下になると、SaO2値は急激に落ちていくことになります。

表 評価のポイントとなるPaO2とSaO2の値

PaO2 80〜100Torr
SaO2 95〜98%
動脈血の正常値
PaO2 60Torr
SaO2 90%
呼吸不全の目安になる数値
PaO2 55Torr
SaO2 85%
在宅酸素療法(HOT)が適応になる値。
ゾロ目であることを頭に入れると覚えやすい
PaO2 50Torr
SaO2 85%
慢性呼吸不全の場合の運動療法を中断させる目安になる値。SpO2が90%まで回復するのを待って運動を再開する
PaO2 40Torr
SaO2 75%
静脈血の正常値

次回は「SpO2低下時のアセスメント」について解説します。

(『ナース専科マガジン2012年12月増刊号 一冊まるごと呼吸ケア』より転載)

\ この記事をシェアする /